ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣

スモビズの立ち上げから4か月が経過しました。

頭ではすぐに具体的な成果が出ることはないということを理解していているつもりです。

しかし、結果がなかなかでないことに焦燥感や失望を感じることがあります。

そんな時に長期的視点に立って活動を続けていくことの助けとなるのではと思ってこの本を読んでみました。

 

自己改善の複利

習慣とは、自己改善が複利の利子を生んでいくようなものである。投資した金が複利で増えるように、習慣の効果も繰りかえすことで大きくなっていく。一日ではほとんど違いがないように見えても、数か月や数年をかけてもたらされる影響は計りしれない。二年、五年、あるいは一〇年後に振りかえってはじめて、良い習慣による利益と悪い習慣による損失がはっきりと目に見えてくる。

絶望の谷の存在

 飛躍的進歩の瞬間は、それまでにしてきたさまざまな行動の結果であることが多い。それらの行動が、大きな変化を解き放つのに必要な可能性を作りあげる。このパターンはあらゆるところで見られる。がん細胞はその寿命の八〇パーセントを気づかれずに潜伏し、そののち数か月で人の身体を支配する。竹は始めの五年間はほとんど目に見えず、地下に広く根をはりめぐらせてから、いきなり外へ突き出して、六週間で約二八メートルの高さに成長する。

 同じように習慣も、決定的な境界を超えて新しいレベルの成果を引き出すまで、なんの違いももたらしていないように見えることが多い。どんな目標でも、初期や中期の段階には「失望の谷」がよくあるものだ。直線的な進歩を期待しているので、最初の数日間、数週間、そして数か月でさえあまり変化が見られないことにがっかりする。なんにもならないように感じられる。それがあらゆる形成過程の特徴であり、もっとも強力な成果は遅れて表れてくるものだ。

 これが、長続きする習慣を身につけるのが難しい主な原因のひとつである。わずかに変化しているのだが、明確な成果が見えないのでやめてしまう。あなたはこう考える。「一か月走ったのに、どうして身体になんの変化もないのだろう?」。いったんこういう考えに捉えられると、良い習慣が途中で挫折しやすい。でも大きな違いを生むためには、この停滞期を打ち破るまで習慣を続ける必要がある。この停滞期を、わたしは「潜在能力のプラトー(停滞期間)」と読んでいる。

 もし良い習慣を身に付けることや、悪い習慣を断つことに苦労しているなら、それは進歩する能力がないからではない。たいていは、「潜在能力のプラトー」をまだ超えていないせいだ。懸命に努力しているのに成果が出ないと愚痴をこぼしているのは、温度をマイナス三度からマイナス〇・五度に上げて角氷が解けないと文句を言っているようなものだ。努力は無駄にはなっていない。蓄積されているだけだ。すべての変化は摂氏〇度で起こる。

 ついに「潜在能力のプラトー」を打ち破ったとき、まわりの人は一夜にして成功したと言うだろう。世間はもっともドラマチックな出来事だけを見て、それまでの一切は見ようとしない。でもあなたは、今飛躍できるのはずっとまえのーなんの進歩もないように見えたときのー努力のおかげだと知っている。

潜在能力のプラトー

アイデンティティベースの習慣

アイデンティティーベースの習慣という考え方は、本書のもうひとつの主要なテーマであるフィードバックループ(循環)の最初の入り口でもある。習慣がアイデンティティーを形成し、アイデンティティーが習慣を形成する。つまり、双方向の関係だ。あらゆる習慣形成はフィードバックループだが、価値観や主義やアイデンティティーによって、成果よりもループを引き出すことが大切である。ある結果を得ることよりも、そのようなタイプの人になることに、いつも意識を向けるべきだ。

良い習慣形成とは、いわゆる仕事術をやみくもに取り入れることではない。毎晩歯をフロスで掃除することでも、毎朝冷たいシャワーを浴びることでも、毎日同じ服を着ることでもない。もっと稼いだり、体重を減らしたり、ストレスを軽減したりというような、目に見える成功を達成することでもない。習慣はこれらを達成するのには役立つが、本来は、何かを手に入れるためにするのではない。習慣は、誰かになるためにするものだ。

突きつめれば、習慣が大切なのは、なりたいタイプの人になるのに役立つからだ。習慣は、自信についての深い信念を育てるための手段である。まさに文字どおり、あなたが習慣になるのである。

習慣ループの仕組みについての理解

要約すれば、きっかけが欲求を引き出し、欲求が反応を起こさせ、反応が報酬を与え、報酬が欲求を満たし、そして最終的に、きっかけに結びつく。このように四つのステップが、「きっかけ、欲求、反応、報酬」、再び「きっかけ、欲求、反応、報酬」、という神経系フィードバックループを形づくり、結果として自動的に習慣ができあがる。このサイクルは「習慣ループ」として知られている。

この四つのステップのプロセスはときどき起こるのものではない。生きているあいだ、今このときも、つねに回っている終わりのないフィードバックループである。

欲求とは、何かが足りないという感覚である。内側の状態を変えたいという願望だ。気温が下がると、身体が今感じているものと、感じたいもののあいだにギャップができる。この現在の状態と望ましい状態のギャップが、行動する原因となる。

願望とは、今いる場所と未来にいたい場所の違いである。どれほど小さな行動にも、そのときの感じより、ちがったふうに感じたいという動機がある。食べすぎるとき、ライターをつけるとき、ソーシャルメディアを見るとき、あなたが本当に欲しいのは、ポテトチップスでも、煙草でも、たくさんの「いいね!」でもない。本当に欲しいのは、ちがったふうに感じることである。

感覚や感情は、今の状態を保つべきか、変えるべきかを教えてくれる。最善の行動指針を決めるのに役立つ。神経学者の発見によれば、感情や感覚が損なわれると、決定する能力が実際になくなるという。何を追い求め、何を避けるべきかという信号を失うからだ。神経科学者アントニオ・ダマシオが説明しているように、「ものごとに、良い、悪い、どちらでもない、という印をつけているのは感情である」

まとめれば、あなたが感じる具体的な欲求や、行っている習慣は、本質的に潜在する動機に対処しようとする試みである。ある習慣が動機にうまく対処できたら、また行いたいという欲求が高まる。

 

行動を何回も繰り返すことの大切さ

 意向が役立つこともあるが、それだけで結果をもたらすことはない。個人トレーナーに何度相談しても、意向は身体を鍛えてはくれない。運動という行動だけが、手に入れたい成果をもたらしてくれる。

 意向が結果につながらないなら、なぜわたしたちは意向を持つのだろう。たしかに計画を立てたり、もっと学習したりすることが本当に必要なときもある。でもたいていは、意向を持つことで、失敗の危険を冒さないまま進歩している気になれるからだ。批判を避けるのが得意な人は多い。失敗したり、まわりから非難されたりすのは嫌なので、そうなりかねない状況を避けようとする。そして、行動よりも意向へと陥ってしまうもっとも大きな原因は、失敗を遅らせたいという気持ちだ。

 

習慣化には行動の質よりも量が大切

 行動を繰りかえすたびに、あなたは習慣に関する回路を活性化させている。つまり、ただ繰りかえすことが、新しい習慣を符号化するのにもっとも重要なステップということだ。だからこそ、何枚もの写真を撮った学生はスキルを向上させ、その一方で、完璧な写真について理論を考えていただけの学生のスキルは向上しなかった。ひとつのグループは能動的に行動し、もうひとつのグループは受動的に学ぶだけだった。一方は行動、他方は意向である。

 すべての習慣は、努力を要する行動から自動的なものへのと、同じ軌跡を描いてく。この過程を「自動化」という。自動化とは、いちいち考えずに行動できることを指し、無意識がその行動を引き受けたときに起こる。

 

自己改善の追求における最大の敵

改善は微妙なバランスを要する。やる気を失わないよう進歩しつづけながら、自分を限界へ追いこむ挑戦をつねに探さなければならない。行動が魅力的で満足できるものであるためには、新鮮さを保つ必要がある。変化がなければ、退屈してしまう。そして、おそらく退屈こそが、自己改善の追求における最大の敵だろう。

 

プロとアマチュアの違い

 たしかなのは、もし習慣を始めて続けられるようになったら、やめたくなる日があるということだ。ビジネスを始めたなら、仕事をしたくない日があるだろう。ジムにいるなら、やりたくないトレーニングがあるだろう。書く時間になったら、タイプしたくない日があるだろう。でも、それをするのが面倒だったり、苦痛だったり、うんざりするときに、さらに力を入れて行うなら、それがプロとアマチュアの違いをもたらす。

 

結論

 いつまでも成果を得つづける秘訣は、改善するのをやめないことだ。やめないだけで、驚くほどのものを築くことができる。仕事をやめなければ、驚くほどのビジネスを築ける。トレーニングをやめなければ、驚くほどの身体になれる。学習をやめなければ、驚くほどの知識が身につく。貯蓄をやめなければ、驚くほどの財産になる。親切にするのをやめなければ、驚くほどの友情が生まれる。小さな習慣はただ加算されるのではない。複利で大きくなっていく。

これが最小習慣の力だ。小さな変化が驚くべき成果をもたらす。